中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第2598回
コピーからオリジナルブランドへ

収入がふえてお金を使える余裕ができると、
最っ先にはじまるのは食べることですが、
その次は着ることとおしゃれをすることでしょう。
もちろん、優先順序は人によって違いますが、
双方がほとんど同時にはじまると言っても、
「当らずといえども遠からず」です。

何年か前、私は中国の地方都市を旅行中に、
洗面バッグの中のヘアリキッドが切れてしまったことがありました。
デパートに行っても、スーパーに行っても、
男性の化粧品なんてどこにもありませんし、
女性の化粧品売場にも
その代わりになるものは何もありませんでした。
ジーッとガマンをして、
上海へ戻ってからやっとデパートで
高価なアメリカ製のヘアリキッドにありついたことがあります。
しかし、この数年、どこのデパートも
女性化粧品売場は商品が見違えるようにふえましたし、
美容院に髪の手入れに行く男性の姿も
よく見かけるようになりました。
私も頼まれて
日本から進出した美容院チェーンの株主をつとめていますが、
有名ブランドのイミテーションからはじまって、
そのレベルまで追いつくスピードには
目を見張らさせるものがあります。

中国のイミテーションは知的財産権の侵害として
世界中の苦情のタネになっていますが、
「学ビテ時ニ之ヲ習フ」
と孔子の昔から奨励してきたことだけあって、
中国人にはこちらが舌を捲くような天分があります。
「自分で設計して見てくれ」と頼むとまるで駄目ですが、
見本を見せて「これと同じものをつくってくれ」と言うと、
半分以下の値段で寸分違わないものを
すぐに再現して見せてくれます。
日本も戦争直後はそうでしたが、持ち前の器用さで、
やがてそれを乗り越えるオリジナル商品をつくるようになりました。
恐らくそれに劣らないだけの器用さと才能には恵まれていますから、
日本よりももっと早いスピードで、
ファッションと化粧品の世界で
オリジナル・ブランドがつくられることになるでしょう。
いまその入口に足がかかったところですから、
チャンスは日本のデザイナにもひらかれていると
私は見ています。


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2007年4月21日(土)

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