中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第2580回
流動性過剰がどうにもとまらない限りは

中国の経済が発展する過程で、
中国人が「流動性過剰」を避けて
うまく通り抜けることはできそうもありません。
中国人は中国の経済の発展を見て、
外国の資金がドッと中国に押し寄せてきて、
そのために株が上がったり、
土地が上がったりしているんだと他人のせいにしています。
だから外国人が中国の不動産を買うのを
禁ずる法令も出しましたし、
恐らく外国人が自由に中国株を売買することにも
ここ当分はかなりの難色を示すことが予想されます。

それでも不動産への投資は高水準で推移していますし、
工場の設備投資も一向に衰えを見せていません。
それにブレーキをかけるべく金利を引き上げたり、
不動産の短期売買に課税する措置を打ち出していますが、
それらの対策によって
流動性過剰にストップをかけることは先ずできません。

流動性過剰がだんだん表面化して、
不動産や株が動意を示してきたので、
ガマンのならなくなった庶民が
銀行に預けていたお金を引き出して株を買ったり、
ローンを利用してマンションを買うようになったのが
昨年来の株高、不動産高の原因です。
政府がいくら金利を引き上げても、
この勢いをとめることはできません。
ましてや世界の遊資がその動きに加わって
一時的に株を押しあげてから逃げにかかったとしても、
逃げたお金はまた有望な投資先を探がして
もっと集まってくる筈ですから
それが中国の株安につながる可能性は杞憂に属します。

「流動性過剰」をとめる妙薬は
人民元の思い切った切り上げしかありませんが、
それを躊躇し続ければ、
中国経済の近い将来には
資産インフレが待ち構えているだけです。
資産インフレのプロセスにはもちろん、
大金儲けをする人と小金をすり減らす多くの人たちの
悲喜劇が見られます。
しかし、資産に投じられるお金はふえる一方ですから、
どこを避ければ損をかぶらないですむかを
考える必要はありますが、
株の上げ下げに一喜一憂することはあまりなさそうです。


←前回記事へ

2007年4月3日(火)

次回記事へ→
過去記事へ 中国株 起業 投資情報コラム「ハイハイQさんQさんデス」
ホーム
最新記事へ