第2571回
あわてて転んだ人が怪我をするだけ
上海証券取引所が震源地になって株の大暴落が起り、
それがニューヨークや日本やヨーロッパにまで波及したことを
新聞が大々的に取り上げたのは、もう3週間以上も前のことです。
(と、私は書いていますが、今日は3月1日ですから、
本当は2、3日前のことです)
それを書いて25日もたってから、皆さんのお目にふれるのですから、
間違っていたら失笑をかってしまいます。
しかし、間違えることはあまりありません。
なかには予想して書いたことで、
書いたときは起っていなかったことが
あとになってちゃんと起ったことが何回もあります。
編集者と私だけが知っていて、
どうしてそんなことがわかるのですかと
原稿を先に見ている編集者から言われたことが何回もあります。
それは私が海辺に立って波を見ているからではなくて、
波の向うを動く潮の流れに注目しているからです。
私が気にしているのは
浜辺の砂の中にもぐり込んでいる
シジミやハマグリのことではなくて、
海流の中を泳いでいる魚の大群です。
波が荒いからと言って
魚がいなくなってしまったわけではありません。
それがどこにいるのか、どちらに向って泳いでいるのかわかれば、
魚に逃げられてしまう心配はありません。
たとえば中国の政府が
株の儲けに所得税をかけるらしいという噂だけでも、
株価の暴落するきっかけになります。
株価が1年に倍以上もあがって、
そろそろその反動が来るぞと皆が危惧するようになれば、
どこかできっかけがあれば、それだけでも
ブラック・マンデイの再来があっておかしくはありません。
でも株が大暴落しても、貿易黒字による中国の金あまりや
石油の値上がりによって発生したあぶく銭が
消えてなくなるわけではありません。
それらのお金が株式市場から引き揚げたとしても、
どこかに溜まり場でもあるのでしょうか。
逃げそこなって転んで怪我をする人はあっても、
波が静かになればお金はまた株式市場に戻ってくるんです。
何を心配することがあるのでしょうか。
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