中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第2543回
株主無視より無知から起るGEM銘柄のトラブル

上海棟華石油は日本で言うと、ニチレキと似たような会社です。
ニチレキはアスファルト乳剤の販売をしている会社ですが、
乳剤の製造もやっていますし、
また道路工事を請負う子会社も持っています。
それに対して上海棟華は
アメリカの商社を通してアスファルトの輸入をして、
道路工事会社に原材料を供給するのが主な仕事で、
つい最近、道路工事の会社の一つを傘下におさめたところです。

販売会社と言ってもアスファルトの運搬や貯蔵には
それなりの設備も必要だし、かなりの資金がかかります。
経済の発展と共に高速道路だけでなく、
一般の道路工事もまだまだふえる一方ですから、
当分は仕事に追われる状態におかれています。
したがって仕事がなくなる心配はありませんが、
石油精製の副産物ですから、
石油の価格の変動からどういう影響を受けるのか、
また同業者との競争がどうなるかが問題になります。
中国は広大なところですから、
一社で全国を制するような道路工事の会社もなければ、
材料供給会社もありません。
上海から揚子江を遡る地域にも20何社、
販売会社がひしめいていましたが、
いまは見るべき会社が2社だけに淘汰されたそうです。

そうした中で棟華は販売先を上海から南京、
更に武漢まで拡げる計画をすすめているので、
約束されているわけではありませんが、
仕事は予定通りに進めることができる環境にあるし、
業績も予定を変化する立場にはないそうです。
しかし、その爆発的な売上げを見込んで投資家たちが
2ドル台まで株価を押し上げたところで、
突然、1.1ドルで香港の機関投資家に
増資を割り当てる計画を発表しました。
あまりにも一般投資家を無視したやり方だったので、
私も株集めの方針を途中で打ち切り、
「そんな無茶なやり方はない。
もし2.2ドルになった株を1.1ドルで増資するなら、
既存の株主にも割り当てるべきだ」
と抗議を申し込みました。
そうしたら「ハイ、そうします」とすぐに対応したところを見ると、
悪意でそうやったわけではなかったことがわかります。


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2007年2月25日(日)

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