第2541回
社長を見ること、業績の将来を見通すこと
株を買うために、会社の見学をしたからと言って、
株の動向について正確な判断ができるわけではありません。
40何年前、日本で上場会社の見学に行って、
社長さんの口から
全く見当違いの見通しをきかされたことがあります。
おかげで大損をさせられましたが、
そういう見当違いの見通しを私に喋ったくらいですから、
創業者社長なのに、間もなく退陣して、
会社そのものが人手に渡ってしまいました。
そういう例外もないではありませんが、
会社のことを知りたかったら、先ずトップを見よ、
ということに間違いはありません。
中国でも大きな会社になると、
いちいち董事長さんが出てくるとは限りませんが、
まだ駆け出しの成長会社の場合は、
先ず例外なくトップが出てまいります。
たとえば、今回の広州、バンコック旅行では
わざわざ深圳まで足を伸ばして東江環保の工場見学をしたあと、
本社の設定したホテルの説明会場で、
ことし41才になる張維仰董事長さんから直接、考察団の全員に
会社の見通しとご自分の抱負をきかせていただきました。
私にとっては2回目の訪問ですが、
前回訪問した昨年4月の株価は0.8ドルで、
今回は2.5ドルになっていました。
私たちの訪問が終わった翌日は2.85ドルまでありましたが、
話をきいた人たちで
翌日株を買った人がいたかどうかはわかりませんが、
「これでわかった」と言って持株を処分した人は
先ず一人もいなかったでしょう。
なぜならば工業化の進む中で、最大の問題は環境汚染であり、
政府の規制は益々きびしくなり、
「ゴミが宝に見える」のは汚染処理の会社であることは
誰の目にも明らかだからです。
昨年、春、私の話をきいて、
(私は会社の名前も言わなかったので)自分で探がしあてて、
1ドル前後で買った人もこの会社訪問に参加していましたが、
ここで株を売る気にはならなかった筈です。
ましてや言い出しっぺの私が売るわけがありません。
私たちは長期投資家で、
下手に証券会社を儲けさせる立場にありません。
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