中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第2539回
下げた時は思い切って損切りをする時

株は上がりはじめたら、
いつ売るかによって大きな差が出てしまいます。
「あわてる乞食はもらいが少い」
と言いますが、
この諺は株式投資にもあてはまります。
でも高くなったところで急いで売らないと、
下がってしまう経験をしている人が多いので、
それにおびえてしまうのです。
ですから妥協案として
元金だけ回収したらどうですかとおすすめしているのです。

でもスイスイと上がることばかり起るわけではありません。
株は上がるよりも、
凍りついたように梃子でも上がらないことが多いし、
下手をすると下がったまま
死んだのじゃないかという動きになることも珍しくはありません。
そういう時には動きようがないので、
ジーッとしているよりほかありません。
そういう時も、
「株をやらずに休みに入った」
と思うのは間違いで、
「休みも相場」
というように売買をやらなくても、
株をやっていることに変わりはないのです。
むしろそういう時に頭に浮ぶアイデアや作戦が
次に新しい手を打つのに役立つのです。

どうしてかというと、株は激しく動く時よりも
ジッとしている時の方がじっくり観察できるからです。
その銘柄の癖や欠点は
ジッとしている時の方が隅々まで見えてくるからです。
そういう時に
「しくじったな、こんな株買うんじゃなかった」
という気持ちになって百年の恋も冷めてしまうことがあります。
もしそういう事に気がついた時は、
買値を大きく割っていても
次に心を奪われるようなニュー・フェイスが現われたら、
私は躊躇することなく損切りをして、
新しい株に乗りかえます。
いくらで買っていくら損をするぞなんてことは考えません。
いつもいまの時点で自分が1番有望だと考えているところに
焦点を合わせるのが株だからです。

もちろん、売ってしまった途端に、
たちまち株価が大きく動き出したという目には
しょっちゅうあっています。
それはそれでいいんじゃないですか。


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2007年2月21日(水)

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