第2537回
倍になったら半分売って半分残すわけ

私は息の長い株の買い方をしますが、
皆さんが私と同じことがやれるかどうか。
「そんなことをやったら、
資金が寝てしまって身動きができなくなってしまいます」
と嘆く声がたちまちきこえてきます。
本当は短期勝負で一割か二割あがったら、
すぐに売ってしまう人は、
証券会社に手数料ばかりとられて、
儲けはそんなに多くはありません。
その上、３回に１回は値下がりもしますので、
その分、お金が寝てしまって、回転が悪くなります。
ですから本当は値上がりしても、
そのまま寝かしておいた方がずっと成績はあがるのですが、
じっとしていることが苦手の人が多いので、
自分の気持と妥協して、
３倍５倍に値上がりする銘柄でも、
倍になったら元金分だけ株を処分して、
残りは「儲けのカス」と思って忘れてしまうことです。
どうしてかというと倍に上がるような株は
必らずもっと値上がりすることが多いからです。

元金が戻ってくれば、
以前と同じスケールでしか投資はできませんが、
実際にやって見ると新しくはじめた投資よりも、
タダになって残り物の方が
よく値上がりすることがしばしば起こります。
それはどうしてかというと、
倍にも値上がりする株は勢いづいていますから、
更に突っ走る可能性が強いのです。
人間として一ぺん売ってしまった株が
グングン値上がりするのを見るのは
決して気分のいいものではありません。
その点、まだ半分が手元に残っておれば、
地団駄ふんだり、負け惜しみを言ったりする必要がなくなります。

不思議なもので、そうやって残した只の株でも、
株式欄を覗いたついでに必らず目は通しますから、
長期にわたる株価の動きが頭の中に入ってきます。
すると、この株は現在どんな位置におかれているか
自然にわかってきますから、
次に新しい資金需要が起った時、
どれが魅力を失った株で、どれを処分して次の戦力に変えるか、
さして抵抗なく対応することができます。
魅力を失った駒を新しい駒に入れかえるのも
株式投資の重要なプロセスの一つです。