中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第2503回
資材産業にも頭打ちの兆候が

石炭、石油を掘ったり、
金や銅を掘ったりする資源産業にも言えることですが、
それらの資源を加工して
製造業界に鉄やら石油製品やら
アルミなどを提供する資材産業は、
資源産業の影響も受けますが、
製造業界の景気にもっと大きく左右されます。
中国の場合は、
ここのところずっと続いた経済成長に支えられて
鋼板をつくったり、プラスチックなど
石油加工品を供給する業界は大きく需要を伸ばし、
株価も大きく成長をしました。

鉄鋼業界も石油化学業界も、増設に増設が続き、
スケールも一段と大きくなりましたが、
これがこのまま増益につながって行くかというと、
必ずしも楽観を許しません。
A株の宝山鋼鉄も武漢鋼鉄も北京首鋼も一応、
順調に業績を伸ばしていますが、
高度の技術を要する自動車用の鋼板などは別扱いとしても、
一般の建築用鋼材は
ちょっとでも過剰生産の風評が立つと
たちまち相場が崩れますから、
原料高を消化して行けるかどうか、疑問符のつくところです。
しかし、鞍鋼のように
好業績が続いているメーカーもありますから、
一概に峠を越したと断言できない動きも見られます。
中国のそれぞれの業界を代表するような大メーカーは
少々くらいのピンチにあっても
倒産するわけではありませんから心配は要りませんが、
これまでのような上昇にブレーキがかかる可能性はあります。
したがって個別的な対応が必要だし、
企業によってはジリ貧に苦しまされる可能性もあります。

以上述べてきたことからもおわかりのように、
中国を代表する大企業も
これだけスケールが大きくなると、
上昇の波に乗るだけでなく
大海の波に揺られることが避けられなくなります。
大船に乗って一緒になって揺れる分には
さしたる心配があるわけではありませんが、
株価が上がりすぎて利回わり採算に乗らなくなると、
その分興ざめになることも事実です。
私が最近、しきりに方向転換を主張してきたのも
こうした情勢になることを予知したからです。


←前回記事へ

2007年1月16日(火)

次回記事へ→
過去記事へ 中国株 起業 投資情報コラム「ハイハイQさんQさんデス」
ホーム
最新記事へ