中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第2447回
カードは外国人投資家の躓きの石

中国人は日本人に比べると
銭勘定のしっかりした人が多いですが、
むろん数多い中国人の中には経済観念のない人もいます。
経済観念のない人はお金の使い方に計画性がありませんから
借りたお金でも無茶苦茶、使ってしまい
返済ができなくなりますが、
返済をしなくとも報復されないことがわかったら、
経済観念のある人でも返済をストップしてしまいます。

日本の月賦販売は大へん魅力的な商売で、
欲しい物がすぐ手に入りますので
経済観念のない人がすぐにとびつきますが、
カード1枚でそれができるようになると、
経済観念のある人まで
経済観念のない人に早変わりしてしまいます。
アメリカ人がまさにその典型で
カード制度が発達したために
アメリカ人の大半が借金地獄におちいってしまいました。

月賦販売はマージンの大きい商売なので、
すぐにも中国でハヤリそうなものですが、
上海や北京に行ってもそんなに見当りません。

私もかつてそういう商売を
台湾でやる計画を立てたことがありますが、
周囲の人、皆から反対されました。
中国人は頭金だけ払って品物が届けてもらえるなら、
次から支払いを渋るようになり、
代金の催促に行くと、わざと商品を壊わして
「持ってかえれ」と怒鳴るからと言うのです。
その後も見ていると、月賦販売はあまりふえませんでしたが、
アメリカのカードが輸入されて、
台湾だけでなく、中国でも銀行の振り出したカードが
急速に普及するプロセスにあります。

はたしてこんなことでうまく成り立って行くのか
と首をかしげていたところ、
最近、台湾では不払いが続出して銀行が頭を抱え、
遂にカードの発行をストップする銀行が続出しています。
恐らく大陸でも早晩これと似たことが起るのではないかと
いま興味津々で観察しているところです。
H株の中にはカードビジネスの先陣を切って
他の銀行より高値に買われている銀行株がありますが、
恐らくそう長いことはないでしょう。
銀行に外国資本が資本参加をはじめたところですが、
中国人の国民性を
そんなによく知っているわけではありませんから。


←前回記事へ

2006年11月21日(火)

次回記事へ→
過去記事へ 中国株 起業 投資情報コラム「ハイハイQさんQさんデス」
ホーム
最新記事へ