第2446回
集金の困難なビジネスは成長しません
成長株買いをする上でもう一つ注意しなければならないことは、
国民性の違いです。
いくら将来性のある事業でも
お金の回収がうまく行かないと思うように発展しません。
たとえば、生命保険はみんなが豊かになると、
死ぬことを怖れるようになりますから加入した人がふえます。
加入しておいて保険金欲しさに死ぬ人はおりませんから、
保険会社はふえた保険金を運用して
収入をふやすことができます。
ところが、財産保険は、
買った自動車の月賦買いも平気で放置するくらいですから、
保険会社が払ってくれると思えば、自動車を乱暴に扱いますし、
ぶっつけても生命に別状がなければ、
ひどいぶっつけ方をします。
ですから、折角払ってもらった掛け金を
また加入者に払うことになって、
日本人が考えるより
中国の財産保険はお金の儲からないビジネスなのです。
日本では生命保険も自動車保険も似たりよったりですが、
中国では生命保険は成長株ですが、
財産保険は成長株ではありません。
またビジネスには
お金の回収が容易な業種と困難な業種があります。
たとえば日本ではセールスは
相手が買ってくれるまでが大へんですが、
「よし、買ってやる」と承知してくれたら
ビジネスは80%は終ったようなものです。
あとはいつ商品を納入して、
いつお金をもらえるかという作業が残っているだけです。
ところが、中国では、
「よし、買ってやる」と言われたくらいでは
やっと10%商談がすすんだだけで、
それからあとが大へんです。
物を納入する前に値段の交渉が何段階もあり、
いざ支払いという時にまた値切られます。
そして一番最後にこわれた時のサービスのために
5%か10%の代金がカットされます。
これが中国の取引の実態ですから、
一見、成長性のある事業でも、
お金の回収が難しければ、成長企業の中には入りません。
そういうことのわからない日本の企業が中国に進出すると、
とんだお門違いということになってしまいます。
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