中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第2428回
手術をしない癌治療の故郷へ

ことしに入ってから、
私はアンチ・エージングANTI AGEINGということと、
「株を買うなら成長株」
ということに気をとられるようになりました。

アンチ・エージングとは文字通り
年をとることに抵抗することですが、
これは自分がだんだん年をとることを自覚しているせいもあります。
しかし、それ以上に社会全体が老齢化の方向に向って
ひた走りに走っていることを
ひしひしと感ずるようになったからです。
団塊の世代も定年の年齢に達しましたが、
かなり先に延びた筈の平均寿命に自分の年齢が追いついて見ると、
そこが1つの壁になって
そこを突破するのは容易でないことがわかります。
その証拠に、新聞をひらくと毎日のように
知っている人たちの死亡記事を見るようになり、
弔電を打つのに忙しくなってしまいました。
ということは自分の家族がやがてそれを受ける時期も
そんな先のことでないということがわかります。

そういうタイミングにこの春たまたま投資考察団を連れて
珠海にある王振国医師の癌研究所を訪問したのがきっかけで、
王振国さんと旧交を温めることになり、
とうとう長白山脈の北側の通化市にある
王さんの漢方薬園まで訪ねて行きました。

北朝鮮と隣り合わせですから、
ミサイルや原爆のニュースがとびかうようになると、
「どうなるのでしょうか」
と心配顔で聞かれましたが、
長白山脈の南側は餓死者が出るほど畑が荒れ果てていますが、
反対側は隅々まで農地の手入れが行き届いているだけでなく、
漢方薬の宝庫として、
昔風の製薬工場が軒を並べています。
しかし、往時の盛況は既に姿を消し、
どこの漢方薬商の台所も火の車、
同じことを唯くりかえしているだけでは
どんな実績のある事業でも斜陽化するのだ
という実例を見に行ったようなものです。
その中にあって王振国さんの研究所だけが日の出の勢いですから、
生まれ故郷で成功することは如何にわずらわしいことかを
この目で見るために足を運んだようなものでした。


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2006年11月2日(木)

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