中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第2425回
医療保険は派手な広告をすると逆効果

日本の場合は、
保険会社は相互会社組織で株式組織でありませんが、
加入者から集めたお金を資産運用しなければならないことに
変わりはありません。
したがって投資環境のよかった時代には
生命保険会社の積み上げた資産は莫大な金額にのぼりました。
地方に行っても駅前通りの不動産がほとんど全部、
生命保険会社の所有であるという時代がありました。
それがバブルの崩壊と共にマイナス勘定になって、
生命保険会社の四苦八苦がずっと今日まで続いています。
今後は人口も減少する方向にあるし、
新規加入者もふえる方向にはありませんから、
生命保険はもはや日本の成長産業にはランクされておりません。

そうした中で、最近、お金を扱う商売の1つとして
急成長してきたのが医療保険の会社です。
テレビであれだけ誇大広告をしていますから、
誰だって医療保険って
そんなにお金の儲かる商売なのかと思ってしまいます。
テレビの広告が高いことは子供だって知っているからです。

しかし、医療保険だって保険である以上、
確率計算の上に成り立つビジネスの1つです。
それをあれだけ莫大な広告料を払って客集めをするということは、
確率計算を無視しているか、
それとも同業者の商売を一手に集めるべく
一時の採算を無視して
流血作戦に出ているのかとカンぐりたくなってしまいます。
仮りにそれが可能だとしても、
年とともに老齢化はすすむし、
そのうちに支出が入金をオーバーすることは
目に見えていますから、
保険料を値上げするか、この業界から撤退する以外に
生き伸びる道はなくなる筈です。
少なくとも私は
保険業はもっと地味にやるものだと考えているので、
派手な広告に心を動かされません。
みなさんの感想はいかがでしょうか。
保険会社を狙った保険詐欺は後を絶ちませんが、
その保険会社があまり派手な宣伝をすると、
この会社、人の病気をタネにお金を稼ぐ積りかと
会社を運営している経営者の頭の構造を
疑いたくなってしまいます。


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2006年10月30日(月)

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