中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第2357回
日本と違う成長産業を探がし当てて下さい

では中国の成長産業はどういう業種の中に多いのでしょうか。
日本ならさしづめ通信という分野に多発しています。
オールド・エコノミーに属する分野は
早くからひらけていた関係で、海運、石炭から繊維まで
成長どころか斜陽化の目立つ企業の方がうんと目につきました。
ところが、中国では海運やら電力やら最近で言えば、
製鉄から石炭までブームのさなかにおかれていました。
経済の成長がはじまると、
鉄やプラスチックなどの素材の不足が値上がりを惹き起しましたし、
電力が不足すると、石炭が我が世の春を謳うようになりました。

反対に先端産業に属するコンピュータやソフト産業は
一向に業績が伸びず、
IBMのパソコン・セクションを買収した聯想や
ソフトで先駆者をつとめた方正のような情報産業株は
鳴かず飛ばずの苦境が続いています。
また家電や自動車の分野では過当競争のために値引き合戦が起り、
どの企業もピンチであえいでいます。
産業構造に日本とは違った出入りがあるので、
日本の先例を参考にした線引きは適当ではありません。

むしろ資源不足は今後も続くと見た方がいいし、
従ってそれらの分野になお成長産業が存在しています。
ついで所得の向上によって消費経済の大門がひらかれたので、
資源不足と隣り合わせになった石油とか石油関連事業とか、
また健康関係、たとえば医療とか製薬に
大きな市場がひらかれつつあります。
一方、通信の全体像はまだ形をなしていませんが、
通信分野でもメディアとかテレビのような広告媒体に
陽が当る傾向が少しずつ見えてきています。

しかし、それが成長産業だと大胆に言いあてるには
まだ各企業の業績があまりに弱体なので、
やっと少しずつ視界に入ってきている段階だと言った方が
実情に近いでしょう。
但し、大胆にそれを言いあて、
且つ人に先んじて投資に成功した人が
大魚を釣り上げる時代に近づいていることは確かです。
皆さんもどうぞ勇気を出して成長産業をうまく探しあてて下さい。


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2006年8月23日(水)

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