第2332回
役人の監視は人民にやらせることです
いま中国の農村地域に暴動が頻々として起っています。
そうした暴動を未然に防ぐ方法として、
北京市には直訴を受けつける役所もできています。
直訴をするために地方からスクラム組んで上京してきた人たちが
行列をしているときいたことがあります。
でも中国は広大なところだし、
訴えられているのも役人なら、
直訴を受けつけているのも役人で、
人民の不平不満がお上の耳に届くまでに大へん時間がかかるので、
しびれをきらした連中が待ちきれなくなってしまうのです。
そうした効率の悪さは何千年来、
延々と続いてきた東洋的官僚独裁制のせいであって、
中央集権的な共産主義体制のせいではありません。
むしろ民主化がかなり進んで、
百姓たちがお役人を訴えたり、
警察を焼討ちしたりしても
生命を失わないですむことがわかったから、
暴動が頻発するようになったのだと見るのが正しいのです。
中国には昔から「陞官発財」(役人として出世して財をなす)
という諺があるように、
官位があがれば、
ワイロがドンドンもらえるというのが常識なのです。
農業社会の時代には富のふえるチャンスは
そんなにはありませんでしたから、
御用になった人たちから罪を軽くしてもらう代償として
お金をもらうのが常識でした。
昨今は産業界の発展によって
富のふえるチャンスがあるようになったので、
政府の土地の払い下げや工場設置の便宜をはかることが
袖の下をふくらませることになります。
こういう不逞分子を撲滅することは
中央政府の重要な役目の1つですが、
中央の役人の中にも
先頭に立って汚職をやる人が後を絶たないので、
上に立つ人はどこから手をつけてよいのか
わからなくなってしまいます。
いまの行政地区を細分して自治制を強化し、
地方のことは地方の人民に監視をさせる
という考え方を胡錦涛が思い至ったのも、
決して理由のないことではありません。
役人の監視は人民にやらせるのが一番効果があがるのです。
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