第2309回
政府が先頭に立って職業教育をしています
3日間ほど時間をつくって、
寧夏回教自治区の区都銀川市に行ってきました。
何のために行ったかと言いますと、
同区の有力者たちに案内されて、
将来、海外及び国内の他地域で働く人材の
職業教育の現場を視察するためです。
寧夏回教自治区と言えば、
回教という字がついているくらいですから、
住民に回教徒がたくさんいることに間違いはありませんが、
人口の大半は漢族によって占められていて、
回族は3割ていどでしょうか。
回教徒が西から大移動してきてから
既に千年以上の時間が経過していますので、
豚肉を食べないという宗教的な習慣は守られていますが、
言葉もすべて中国の普通話が通用しており、
新疆自治区のような民族的な軋轢も見られません。
区都銀川市は人口約百万人あまりで、
都市計画が進んでおり、道路も広く、
高層建築はほとんど見られませんが、
清潔な近代都市になっています。
ただ雪に覆われたような
淡い一色の町並みが遠くまで続いているので、
やはり異国に来たなあという印象は受けます。
工業区ももちろん、ありますが、
自治区を代表する工業は鋳物づくりが盛んなのを除いては
さして見るべき物はありません。
その代わりに六百万人近い人口をうしろに控えて、
真面目で研究心があって
親孝行な弱年労働力が供給できる社会環境におかれています。
つまりここには外国や沿海地帯に
出稼ぎに行きたい若者がたくさんいて、
手に職を持たないと単純労働にしか従事できず、
高い給料にもありつけないので、
政府が先頭に立って若者たちの職業教育に力が入っている、
中国じゅうを見渡しても珍しい土地柄なのです。
区内の若者を海外に出すためには外事係の許可が必要ですが、
その外事弁公室が先頭に立って私たちを案内してくれたのです。
職業学校だけでも40何校あるそうですが、
2日間でその中の5校を駆け足で見学してまわりました。
すっかり感心してしまいました。
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