中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第2305回
一流株から成長株に選手交替します

経済成長がはじまると、
その国を代表する大企業が先ずその恩沢に浴します。
日本で言えば、
日立や東芝のような総合電機メーカーとか、
八幡や富士のような製鉄会社だとか、
三井三池炭鉱や北海道炭鉱のような炭鉱業者だとか、
日立造船や三菱重工のような造船メーカーが
目ざましい業績をあげるようになります。
なかでも日本は繊維を中心とした産業構造だったので、
日清紡、東洋紡、鐘紡、東レ、帝人が儲け頭に顔を並べました。

しかし、高度成長が所得水準を押し上げるようになると、
家電メーカーが成長のトップを切るようになり、
やがてそれが自動車ブームや不動産ブームに波及して行きます。
産業界の代表選手が入れ替わると、
石炭と繊維と海運が
先ず斜陽化産業に組み入れられるようになり、
成熟社会になると家電メーカーや不動産業者やゼネコンまで
その後を追うようになりました。

いまの中国を見ると、
日本とそっくりのことが起っているわけではありませんが、
家電メーカーは大量生産体制が整った関係もあって、
既にコスト高の製品安に悩むようになっており、
資源不足で値上がり益で潤った資材関連企業も
値上がりが一服して、
これ以上の値上がりは
あまり期待できない段階まで来てしまいました。
昨年並みの業績を上げることができたとしても
利益の急増と配当増を期待できなくなりますから、
株価を押し上げるだけのエネルギーはなくなってしまいます。
したがって高値を維持できたとしても、
株価を更に押し上げることは困難になります。

高度成長とは産業界の成長が今後も続き、
利益を押し上げる力を失ったチャンピオンの選手交替が起って、
新しいチャンピオンがそれに続いて成長を推し進める
ということです。
そういった意味では中国の高度成長も
いよいよ第一次の選手交替をする時期にさしかかったらしい
と私は予感しているところです。
一株あたりの利益が停滞期に入る企業と、
今後なお成長し続ける企業を
選別しなければならなくなったのです。


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