第2239回
中国もいよいよ環境汚染対策の時代です
私はいま中国の環境汚染に強い関心を持っています。
同じ関心を示している人も多いと見えて、
「中国の環境汚染をどう思うか」とか
「この方面の仕事をやりたいと思うが、
センセイはどういうご意見ですか」とよくきかれます。
それに対して
「中国人は環境汚染に鈍感なだけでなく、
計算高いのでなかなか汚水処理の設備にお金を使おうとせず、
役所から警告を受けた場合も、
設備資金を払う資金と罰金を比較して
罰金の方が安かったら、罰金ですませる傾向があるから、
なかなか需要がふえず、
事業として展開するのは難しいですね」
と答えたことがあります。
そうしたら質問した人は
私が環境保全に反対していると早合点して
「邱センセイの意見には賛成しかねる」
と非難してきて私をびっくりさせました。
私は中国人の環境汚染に対する対応の仕方を指摘しただけで、
汚染処理に反対したり、
汚染に対して見て見ぬふりをしているわけではありません。
台湾では石油化学の工場は
高雄から屏東に及ぶ地域に設備されたので、
付近の川から海までが最先に汚染され、
近くでとれた魚や海老などの海産物を食べると
身体に悪いという評判が立ちました。
汚染対策の方はどうしても遅れるので、
工場見学に行った時も
「このへんの海産物は食べないように」
と注意を受けました。
きちんと汚染対策が法律できまり、
政府の取締りがきびしくならないと、
企業は眞剣になって対策をとろうとはしないのです。
さすがに最近では汚染による被害が
大きく取りあげられることがなくなりましたが、
環境保全対策はどうしても被害を蒙ってからでないと、
社会問題にならないし、
したがってまた実施に至らない傾向があります。
同じ傾向がいま高度成長に突入した中国にも見られます。
かつて昭和30年代後半に日本で起ったようなことが
いま中国の大きな社会問題になりつつあります。
事業として成り立つのもいよいよこれからです。
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