第2222回
中国の不動産の土地は全部借地権です
個人消費の中で一番スケールの大きな物は
マイホームとマイカーです。
その点では日本も中国も変わりはありません。
強いて言えば、日本の場合、土地には私有権がありますが、
中国ではすべてが国有で、
国の持っている土地を
個人や企業が借りている形になっています。
かっては私有だったのを
共産国家になった時に国有化したのですが、
一旦、国家の物になったのをまた私有化することには
かなり抵抗があったのです。
私が北京や上海にビルを建てた時も、
50年とか70年とか期限を切って国から借地をし、
租借代金を一時払いしました。
中国側にして見れば、かなり譲歩した形でしょうが、
私たちのように私有財産権に慣れて育った者にとっては
馴染めないものがあります。
ですから租借契約をする時に、
「50年たったらどうなるのですか?」
と役所の人にきいたら、
向うもこちらの顔を覗き込んで
「50年たってこの中でまだ生きている人いますか?」
とききかえしてきました。
同席していた人たちが一せいに歓声をあげて、
「死んだあとのことは
次の世代の人たちの判断に任せることにしましょうや」
と言って無駄な議論はやめることにしたのです。
共産国家が経済の発展を重視して、
不動産を銀行借入れの担保に入れる方法として考えたのが
当時まだイギリスの統治下にあった
香港の土地制度に右へならえをすることでした。
香港の土地はすべてクイーンの所有で、
地上物の所有者は期限つきで租借していることになっていました。
租借地でもそれを担保にして
銀行からお金を借りることは銀行側も承知していたので
不都合なことは起りませんでした。
中国の場合、それが今後の経済発展で
どういうことになるかについては
次の世代の人たちの判断に任せるよりほかありません。
人間がつくった制度は時代の要求にあわなければ、
どんな形にでも変えることができます。
いまの中国の不動産はそういう生い立ちですから、
国家の意思によって大きく左右されることになります。
悪い面もありますが善い面があることは確かです。
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