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第2213
昆明の五つ星ホテルにQコーヒーのテスト店

雲南の昆明市という省都に行くと、
町の眞ん中に翠湖という湖があります。
冬になると多分、シベリアあたりからでしょうが、
白い鴎が群をなして飛んできて、湖水が
見えないくらい湖面を眞っ白に埋めてしまいます。
はじめてこの湖を訪れた時、思いがけない光景を
目のあたりにしてとてもびっくりしました。

ところが、冬がすぎると、白鳥は一せいに
北にとび去ってしまいます。あとには
飛べない家鴨だけが残って淋しそうに水際を泳いでいます。
この池の前のとてもいいロケーションの
ところでホテルを建てていたので、「あれができたら、
今度、昆明に来た時は泊まることにしよう」
と案内してくれた人に言ったら、
「五つ星のとても高いホテルですよ」と暗に
あなたたちの泊まるところではありませんよと事もなげに
言われてしまいました。

それがいつの間にか、私が昆明に行った時の
常宿になってしまったのです。というのも
ホテルが完成すると、ホテルの総経理さんの
お声がかりで、私が雲南で開発したQコーヒー
(中国語では「邱公館珈琲」)に
日本的サービスのコーヒーハウスを経営してくれないか
と話を持ち込まれたのです。

翠湖賓館の日本人のスタッフとうちの日本人の
スタッフの間ではじまった話ですが、
向こうの総経理さんもまさか邱公館の
うしろに私がいるとは知らなかったようです。

そうした話し合いがきっかけになって、
とうとう私と向うのトップが
顔を合わせるようになり、うちのデザイナが
わざわざ東京や台湾から出かけるようになり、
店の雰囲気も一新するようになりました。
しかし、雲南といえば普(アール)茶と雲南ワインが
知られていますが、雲南が世界的レベルの
良質コーヒーの生産地であることは全く知られていません。
ホテルの喫茶店の売上げの中で
コーヒーの占めるパーセンテイジは
僅か十八%で、コーヒーを飲んでくれるのは
外国人の泊り客だけです。現地の人たちは
コーヒーの飲み方さえ知らないのですから無理もありません。


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