第2195回
過去に成功した人ほど始末が悪いですね
私は日本人の次の活躍舞台は
海外及び海外と日本をつなぐ路線上にあると見ていますが、
自分たちがいままで育ってきた土地に固執し、
そこから一歩も外へ出られない人もたくさんおります。
江戸の昔にも国に大きな変化が起る時は
開港論者と攘夷論者が眞二つに割れたように、
いまも輿論は二つに分かれて
お互いに譲り合うきざしは見えません。
それでも日本の国の在り方は刻々と変わって行きますから、
氣がついたら国が
かつての藩のような存在になってしまっているかも知れません。
私は過去のことを重んずるより
先を見て将棋の駒を進める方ですから、
変化を恐れません。
変化に合わせて自分の考え方を変えようと努力します。
そういう目で見ていると、
いまの攘夷論者は国際化には頑なに抵抗しますが、
老齢化と成熟化は案外すんなりと受け入れています。
老齢化は自分自身にも起っているし、
周囲を見ても毎日送っていることですから、
嫌でも認めざるを得ません。
その点、成熟化は
氣がつかないうちに起っていることですから、
それを変化だとすら思っていません。
同じ人が同じことをやっているうちに
自分たちの生活に大きな変化が起っているのですから、
自分の考え方を改めなければ、
などと悟ったりしないのです。
産業界に次々と選手交替が起るのは、
そうした時代の変化を自覚しない人たちが
時代に対応する手を打てなくなっているからです。
ここのところ、ダイエーの中内功さんをはじめ、
堤家の没落に至るまで、
更には会社は続いているけれども、
経営者が次々と入れ替わっている金融界を見てもわかるように、
時代の変化について行けなくなった人が大量に輩出しています。
面白いことに過去において成功した人ほど
自分が時代に置き去りにされたことを認めたがりません。
過去において成功した自信が邪魔になって
時代との間にズレが生じていることに
氣がつかないでいるのです。 |