第2147回
成熟社会の勉強からはじめましょう
成熟社会とは
成長がとまってしまった社会のことではありません。
日本ではもうずいぶん前に
高度成長の時代は終わって
低成長が続いています。
低成長というと耳障わりなので、
安定成長と言いなおしたりしていますが、
オトナになると
もう背は伸びなくなるのと同じだと思えば
わかりやすいでしょう。
背が伸びなくなっても、
人間には成長があります。
成長の内容が変わって、
量から質へと移ります。
食べる物だって、
食べ物を提供するレストランだって、
10年前とは違います。
乗っている自動車にしても、
10年前と同じものではありません。
中国はいま日本のあとを追いかけていますが、
その間に30年の距離があります。
アクセルを踏んだからと言って
すぐに追いつくものではありません。
外見はよく似ていても、
円熟という言葉があるように、
長い時間をかけて育てあげた
知識や教養や熟練度には
大きなひらきがあります。
日本にあるようなものは
中国にも大抵あるようになりましたので、
その差は急速に縮まったように見えますが、
仔細に観察すると
やはり30年の差があることがわかります。
中国にとっては
この差を埋めることが当面の課題になりますが、
日本にとっては成熟社会の次の場面の展開に
全力をあげる以外に方法はありません。
次に進むところをどう改善するのか、
また洋服ダンスの中一杯の衣料品は皆、捨てて
自分たちが満足するような次のファッションは
どうやってつくり出すのか、ということは
成熟社会を生きる日本人の次のテーマです。
中国に追いつかれる心配をするよりも
人口が減少する方向にある日本で、
日本人が自分たちの満足できる生き方を
追求する必要があります。
そのためには外国に行って
コストの安い品物をつくればよいのだ
ということだけでは片がつきません。
成熟社会は何を求めているのか
という正確な読みが大前提になります。
成熟社会とは何かの勉強からはじめるべきだと
痛感しているところです。
|