第2119回
年の終わりは新しい時代のはじまりです
平成17年も暮れが押し迫ると、
選挙で自民党は圧勝するし、
株式市場は16年ぶりに活気を取り戻すし、
「これで日本のひとり勝ち」と
景気のいい楽観論も
ジャーナリズムを賑わすようになりました。
でもそれははじけたバブルがもう一度、
息を吹きかえして
好景気が戻ってきたということではありません。
久しぶりに上場企業の業績がよくなったのは、
徹底的なインフラと借金の返済が一段落し、
また銀行の不良債権の整理がほぼ終わったのと、
中国の急成長がもたらした
素材産業の好業績によるものであって、
国内消費が恢復したからではありません。
設備投資が活気を呈するようになったのも、
海外投資が方向を変えて
日本に戻ってきたからではなくて、
国内設備が16年もストップして
もうこれ以上放置しておくことが
できなくなったからです。
地方にある工場の更新が起っていますが、
地方の時代が戻ってきたわけではないのです。
ソニーやサンヨーやパイオニアなど
最終消費者に直結した企業の
悪戦苦斗ぶりが示している通りです。
グローバル化の時代がはじまって
10年以上の歳月がたち、
日本が世界市場の中ではたす役割に
ほぼ目途が立ち、
新しい時代がはじまろうとしているのです。
日本の企業の大半がそうしたなかで
次の手をどう打つか、
考えるところに来ているのです。
現に中国大陸でかなりシェアを伸ばしている
キャノンやシャープが工場を
日本に戻す話をきいたことなどありません。
むしろ日本の自動車メーカーが
中国における実績づくりに眞剣になって
取り組んでいる姿が
次々と報導されています。
そういった意味で、
日本が大きな分岐点にさしかかっていることは
前にも述べた通りです。
ほとんどのプロが過去の経験をもとにして
未来の臆測をしています。
でも次に起る現象は
いままでになかったことですから、
日本の産業地図は新しく書きなおされます。
年の変わり目は
新しい時代のはじまりでもあります。
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