第2111回
世界のお金が香港に集まってきます
或る時期、アジアの華僑のお金は
シンガポールの銀行に集まっていました。
インドネシアでもフィリピンでもミャンマーでも
政情不安があると、暴動が起ったり、
当局の政策が変わって
銀行の資金が凍結されたりしたからです。
お金の安全のため華僑たちは
自分たちの働いている現場に
大事なお金はおいておかないように
気を使ったのです。
香港はイギリスの領土として長い間、
輸入税のかからない自由港として
繁栄してきましたが、
97年の返還を境として
一国両制の特別区として
過去の遺産を継続することになりました。
しかし、工業の発展した広東省の出店のような形で
発展してきたビジネスは、
広東省が深や珠海から
直接輸出する形をとったので、
セールス・ビジネスが減少する方向に向ったし、
役人の給料の高い香港政府を維持して行くとなると
歳入不足を補うために
税金をあげるよりほかなくなります。
となると、税金が安いというメリットがなくなるので、
香港は衰微する方向に向うのではないかと
私も心配していました。
ところが、中国大陸の経済が急速に発展して
成金が続出するようになると、
香港への旅行者が急増して、
香港へ買物と観光に来る人で
ホテル代まで倍から3倍に値上がりするほど
景気が恢復するようになりました。
そればかりでなく、金融市場としての実績が長く、
世界のお金が集まるばかりでなく、
自由に出入りできるので、
気がついて見ると大陸で新しく上場する企業が
香港を上場の基地として選ぶようになりました。
香港市場で売買される株の45%を
大陸系の企業が占めるようになり、
ことしの株式市場における資金調達額の
何と82%が大陸に
持って行かれるようになってしまったのです。
大陸のこれはと思う優良企業が
こぞって香港で資金調達をするようになったので、
世界のお金が香港に集まり、
それが中国に動く形が
ほぼできあがってしまったのです。
注目すべき新しい動きと見てよいと思います。
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