第2110回
香港は相続税も廃止しました
中国株をおやりになっている方なら、
もうとっくにお気づきだと思いますが、
いま世界中のお金がゾクゾクと
香港に集まってきています。
どうしてかというと、
香港が世界一のタックス・ヘブンに
昇格する方向に向って動き出したからです。
タックス・ヘブンと言えば、
太平洋のどこかの海の中にある小さな島で、
島の中には何ら見るべき産業はありませんが、
そこに会社を登録すれば、
よそで儲けたお金が入ってきても
一切税金をとらない制度を
設けているところのことです。
香港もそれに近い税金の低い地域ですが、
香港にはまだ税務署もあって
17.5%の法人所得税と
15%の個人所得税がかかります。
ですから香港を根拠地にして
大陸投資をしている会社でも
本社はタックス・ヘブンにおいている会社が
たくさんあります。
日本人から見たら嘘のような話ですが、
香港では3つのことについて
税金がかかりません。
1つ目は銀行の利息、2つ目は配当金、
3つ目は保有して1年以上たった不動産の売却所得。
そして、もう1つは
香港の会社が香港であげた所得に対しては
17.5%の課税をしますが、
香港の会社が海外に投資をしてあげた所得は
課税の対象にしません。
従って香港を基地として
中国その他の地域に投資してあげた利益のうち
現地の課税はやむを得ませんが、
配当金その他の形で受けとる利益は
一切無税になっています。
但し、香港にある財産の相続に対しては
一応、相続税がかかりました。
贈与税のないところに相続税のあるのは
あまり意味がありませんが、
その相続税を来年から
廃止することが決定されたのです。
こうなると、アジアの他の地域に住む資産家は
移動可能な財産は自国においておく代わりに
一応、香港に動かすことは目に見えています。
またそうなることを狙って
相続税まで廃止する決定をしたのだと言って
よいでしょう。
お金の性質をよく知り抜いた
為政者の打った手ですね。
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