第2097回
お金の流れは30年に一ぺん変わります
お金の流れは川の流れと同じように
どう変化するのか予想がつきません。
産業界に異変のない時は、
いままでと同じ量と形で流れます。
変化があると言っても、
季節や気象が川にあたえる程度の変化です。
一番いけないのは
そうした川の流れになれてしまうことです。
地震や台風に見舞われるのは大抵、
そうした油断で心がゆるんだ時です。
「会社の寿命は30年」というように、
お金の流れは30年に一ぺんくらいの割合で変化します。
ふだんからそういう変化に気をつけている積りでも、
事業に成功した人は
自分の流儀でお金の流れに対処して
成功した実績がありますから、
自分のやり方に自信を持っています。
流れが変わっていままでの流儀では
対処できなくなっても、
なまじ成功した自信があることが
却って具合が悪いのです。
たとえば、高度成長の時代は、
一人が一個、もしくは一家に一台といった
耐久消費財を開発して
商品にすることに成功した人が財をなしました。
それが飽和点に達する前に
次の商品の開発のできた人は
途中で挫折しないですみましたが、
ミシンやカメラにつかまって
次の手の打てなかった人は
売れなくなった商品と運命を共にしています。
それでも高度成長が続いていた間は
全体として国民所得がふえましたから、
不動産のように皆が欲しがって
供給が有限なものは財産価値のある物として
投資の対象であり続けました。
土地は持っていただけでも値上がりしましたし、
加工をして収入が得られれば
それに所得が加わりましたので、
その先頭に立った人たちは
日本を代表する資産家になりました。
日本は税金の高い国ですから、
節税をするためには所得を発生させないで
資産をふやす工夫をするよりほかありません。
できるだけ借金をふやして
不動産からあがる収入を
借金の金利に支払ってしまえば、
この目的を達することができます。
西武のグループは擁する財産に比して
税金が少いと批判する声がありましたが、
それは金持ちになったことのない人たちの
意見だと言ってよいでしょう。
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