第2096回
産業界はチャンピオン交替の時期です
ジーパンというのは、頑丈でなかなか破れず、
よごれても水洗いをすれば
またすぐ使えるというだけの理由で、
労働者や学生たちに
親しまれるようになったものですが、
これだけ普及して
ちゃんとしたジャケットの下にまで着るのが
当り前になると、
ファッション業界の動向を
大きく左右するようになります。
「たかがジーパン、されどジーパン」
ということになって、
私までついお節介を出してしまいました。
もし今後ジーパンに革命が起ったとしたら、
下半身だけですが、
ファッション業界には
ハリケーンくらいの影響を及ぼすことになるでしょう。
一人一人のポケットから出て行くお金が、
ほんの僅かでも、
それが集まって大きな流れになると、
流れが変わっただけで
ファッション業界の様相を一変させてしまうのです。
同じようにいま産業界で一番目につく変化は
産業界の主役をつとめてきた
チャンピオンたちの交替が起っていることです。
ダイエーの中内功さんは
流通革命のチャンピオンでしたが、
ご自分が他界するよりも、
手塩にかけて日本一に育て上げたスーパーの方が
一足先に駄目になってしまいました。
鉄道と不動産で世界一の富豪にランクされた
堤一家の人たちは、
流通業が一歩先に人手に渡りましたが、
バブルの崩壊と共に不動産に足をすくわれて
身動きができなくなっています。
銀行は個人や家族によって
運営されることが少かったので、
あまり主役が目立ちませんが、
日本の高度成長を支えてきた金融界の主役たちは
箒ではくように一掃されてしまったことは
ごらんになっている通りです。
どうしてこんなことが起ったかというと、
一口で言えば、お金の流れが変ったからです。
お金の流れが変わると、
流れから置き去りになった人たちは
だんだんお金と縁がなくなるようになります。
反対にいままでお金と縁のなかった人でも、
右を向いても左を向いても
お金まみれになってしまいます。
お金の流れと縁のなくなった人たちは
いくらあせってもお金の舞台から
姿を消してしまうよりほかないのです。
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