第2063回
日本ははたして今までの位置を維持できるか

工業化したと言っても、
戦後の日本が一ぺんに
金持ちになったわけではありません。
はじめは繊維加工のような
低次元の仕事からはじまって、
造船とか、カメラとか
腕時計のような精密工業とか、
更には家電製品とか、自動車とか、
少しずつ高度の技術を必要とする業種にのめりこんで、
遂には独自の開発をしたり、
他に競争者のない高性能の商品市場を生み出して、
貿易黒字を定着させることに成功しました。
一つの体制を確立させたかに見えますが、
その内容を委細に調べて見ると
輸出商品の中身が10年ごとに
大きく入れ変わっています。
安閑として同じ位置を保っているわけではなくて、
追いつ追われつトップを切るようにして
生産高度化の道を走り続けてきたのです。

たとえば、飛行機こそつくっていないが、
飛行機の部品とか素材の中で、
日本企業の占めている位置は
他の追随を許さないものがあります。
また自動車の生産では遂に
GMやフォードに土をつけさせるところまで
のしあがってきましたが、
気がついて見たら
トヨタもホンダも世界的規模で工場を持ち、
世界的な競争の只なかにおかれています。
日本はメシを食いっぱぐれないために、
国全体を工業化することに
無我夢中で走り続けてきましたが、
それは日本人にだけできることを
やってきたわけではありません。
また富を築くために
国境の壁を打ち破って
世界中を相手の市場を開拓してきましたが、
やらずぶったぐりで
世界が制覇できるわけでもありません。
現に世界中の有名ブランドが悉く東京に集中して、
日本人が最大の顧客になっているのを見てもわかるように、
日本は既に世界の5本指の中に入る工業先進国、
従ってまた富裕国に
数えられるようになっているのです。
したがって日本の一挙手、一挙動が
世界に影響する立場です。
ちょうどそこで後を追ってきた中国と
頭と頭をぶっつけることになりました。
両者の住み分けをこれからどうするかは
なかなかの大問題なのです。


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