第2033回
コンピュータの未来が読みきれませんでした

政治の仕組みやその行方もわかりにくいけれど、
それにも負けずわかりにくいのは
IT産業の仕組と行方ではないでしょうか。

人間の手足の代わりをする
道具や機械が考案されれば、
やがて人間の頭脳にまで及ぶことは
誰でも思いつくことです。
足の代わりは自転車、オートバイ、自動車、
そして飛行機という方向だし、
手の代わりは農機具、武器、工作機械、
オートメ・マシンからロボットと進んで、
そのうちに人間は何もやることがなくなって
遊んで暮らすようになるのではないかと
心配になってしまいます。

そのデンで行くと、
頭脳の代わりをするものが発明されたら、
人間は物を考えなくなるのではないか
ということになりますが、
頭脳の働きは人間の持っている道具の中で
一番複雑にできていますから
コピーは容易ではありません。
コンピュータのはじまりにしても、
電子計算機と言うくらいですから、
数字の組み合わせからはじまって
人間の頭では計算できないような天文学的数字を
正確且つ瞬時に算出することから
はじまっています。

それは複雑な計算を必要とする銀行とか
保険会社とか税務署とか
スケールの大きな組織に便利なものであり、
IBMがそうした機械の製作に成功した時も、
庶民の生活とは関係のない雲の上の出来事として
受けとめられていました。
コンピュータが輸入され、大企業によって採用され、
更に日本の通信機メーカーが
この分野で進出するようになっても、
庶民にとって関心のあることは
NECや富士通の株価がどうなるか
というくらいのことにすぎませんでした。

私の周辺で言えば、
大企業にコンピュータの要員を派遣する
CSKという小さな会社の
大川さんという社長さんから
相談を受けたくらいのことで、
私にはその将来がどうなるかについてさえ
全く定見がありませんでした。
パソコンができるまで
それが私たちの日常生活と
かかわりがあるようになるとは
思っても見なかったのです。


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