第1906回
大陸からの観光客は香港をどう変えたか
大陸の政府は
台湾の二つの野党と話をつけたので、
来年から直航便をとばすことにしようじゃないかと
提案しています。
民進党の政府がそれにどう対応するか、
さだかではありませんが、
一方的に拒否することは
難しい世論が形成されつつあります。
もし直通が実現すれば、
長い間、懸案になっていた三通は
一気に実現することが考えられます。
6時間か7時間かかっていたところが、
1時間か2時間で到着するようになれば、
先ず台湾と大陸が
かつて考えられなかったほど近くなります。
既に1年に台湾の人たちが
300万往復もしているのですから、
これに大陸人の渡航が自由化されれば
台北大陸間は黄金路線に一変してしまいます。
民進党にとっては
嬉しくないことかも知れませんが、
香港で起ったようなことが
台湾でも起る可能性が出てきました。
かつて大陸人の渡航が制限されていた頃は
大陸から香港に来る人は少かったし、
ふところも淋しい人たちが多かったので
香港のお店では相手にもされませんでした。
台湾の人たちも北京語を喋るので
同じ扱いを受けたことがあります。
ところが、大陸の高度成長がはじまると
成金が激増して気前のよい連中が
続々と香港に押しかけてくるようになりました。
成金と言っても、
汚職でポケットのふくらんだ役人や
その家族たちが大半かも知れません。
これらの人々は
ブランド商品を値切らずに買うばかりでなく、
宝石や貴金属にも目がないので、
最も歓迎される上客に一変し、
どこでも北京語を喋る人が入ってくると
下にもおかない扱いをするようになりました。
「人民元大歓迎、大陸客は1割引」と
貼紙をしている店もふえました。
とりわけ連休シーズンになると、
どこのホテルも満室になるので、
返還後、不景気に見舞われ、
不動産の価格も落ち込んでいたのが
一挙に持ちなおしたのです。
もしこれと同じことが台湾でも起るとしたら
独立派は一挙に選挙の基盤を失ってしまいます。
その期待感が人々の考え方を
一変させるところまで来てしまったのです。
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