第1871回
健康商品全盛時代に入るかも
消費がだんだん後退しています。
それも安ければ売れるだろうと思って、
自分たちも買わないような安物を売っているのが
スーパーやディスカウント・ハウスです。
安物ばかり並べていると、
物が売れなくなるばかりでなく、
同じ棚に並んでいる中級品まで
売れなくなってしまいます。
そうなると、商品の構成を変えても
寄りつかなくなったお客は戻ってきませんから、
それこそ店の名前まで変えないと
息がつけないところまで落ち込んでしまいます。
では、グレードをあげれば
売れるようになるかというと、
問題はお客の顔が
どちらを向いているか
ということになると思います。
その一つはどうやって病気にならないように
いつまでも健康でおられるかということであり、
もう一つは元気なうちに
遠くまで旅行に出かけようじゃないかという人が
多くなっているということであります。
いまから40年ほど前、
私は中央公論社の嶋中鵬ニ社長に
広告収入をふやすために
「暮らしの設計」という
生活雑誌の発刊をすすめたことがあります。
私は常連執筆者の一人として
よく原稿を書くお手伝いをしましたが、
当時の編集長をしていた横山眞一君と、
「これからは皆が身体に気をつける時代になりますね。
健康がテーマになりますから、
健康産業とでも名づけたらいいんじゃないですかね」と
うなづきあったことがありました。
それが時代と共に少しずつ成長して、
昨今は健康産業全盛期時代に入った感じがあります。
デパートでも健康食品がズラリと並ぶようになったし、
テレビが私たちも名を知らないような
難しい成分の健康食品を取り上げて
話題にしています。
健康食品を専業にした会社が
上場するようになっただけでなく、
保険会社や投資会社まで一枚かもうと
ちょっかいを出しています。
だからと言って健康食品であれば
どれもヒットをとばすわけではありません。
安売りの棚の商品が
そういうものにとって代わられ、
口から入るもの中心の
時代になるんじゃないでしょうか。
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