第1841回
ふるさとは遠くにいて思うものです

いくら「荒城の月」を口吟んでも、
いまや城下町をあとにして、
東京や大阪に出稼ぎに行くことはできません。
東京や大阪の人も仕事がなくなって、
地方に戻る方法はないものかと
暗闇の中で手さぐりをしています。
サラリーマンが職を投げ打って、
地方に戻って帰農している生活ぶりが
時々テレビに映っていますが、
あの通りにやれる人は少いし、
やっても衣食に不自由したり、
子供の教育にも困ってしまいます。

ですから今度ばかりは日本全体が
「荒城の月」を歌う番です。
しかし、それが日本人の悲劇ということではありません。
「南国土佐をあとにして」
都会に出て行く人がふえたとしても、
高知県の人が
メシが食えなくなったわけではありませんし、
土佐をあとにしなかった人たちが
不しあわせになってしまったわけでもありません。
ただ昔は同じ日本国内における大移動でしたから、
新しく言葉を覚える必要もなかったし、
収入の少いところから
収入の多いところへの移動であったのに対して
今回は収入の多いところから
逆に収入の少いところへの出稼ぎですから
ハードルはかなり高く、
よほどの決心と勇気がなければ
実行に移すのは容易ではありません。
それでもグローバル化が現実になってしまった以上、
新しい人の移動は避けられなくなったと
私は見ています。
それも地方だけでなく、
東京や大阪も例外ではありませんから、
ふるさとは土佐や薩摩だけでなく、
日本全体が日本人のふるさとになるところまで
来てしまったのです。

「あなたはどこの人ですか」ときかれて、
日本国内なら「福島です」「熊本です」
と答えることはあっても、
外国へ行って
田舎の町の名前まであげる人はいないでしょう。
日本があなたのふるさとだという認識があれば、
あなたは世界中どこにでも行くことが
できるようになります。
仕事のことを考える時も
世界的な規模で考えることが
できるようになります。
ふるさとはあなたが遠くにいて思うものであって、
あなたがメシにありついたり、
財産をつくったりするところではないのです。


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