第1816回
貧富の差があればチャンスも多い
自動車の整備学校をやろうかと思って、
あちこち中国の地方都市を見てまわったら、
学校はないけれども、
修理工場のチェーンは既にできていました。
ビルの1階に大きな店舗を構えていて、
自動車も次から次へと運び込まれていますが、
修理をする若い職工さんも溢れるほどいて、
なかなかの盛況です。
個人営業の、
安さでお客を呼んでいる町工場と違って、
どうしてこんな店があるのかと
不思議に思ってきいて見ると、
自動車の販売業も兼ねていて、
自分の店で買ってくれた自動車が故障しても
修理代はずっと只で、
パーツ代しかもらわない営業の仕方を
やっているとのことでした。
なるほど中国人らしい商法だなと感心しましたが、
日本人にはなかなか思いつかない
かなり徹底したやり方です。
そうなると、
部品の販売からスタートした商売は
自動車の販売をする仕事にも
手を出さざるを得なくなるし、
自動車の修理もやらなければならなくなります。
また事故を起した人と
しょっちゅう接するようになりますから、
自動車保険のセールスをやるチャンスも
ふえることになります。
なかでも一番肝心なのは
多くの修理工を集める実力を
持たなければなりませんから、
やはり自動車整備学校を傘下に持つことは
絶対的な条件だということになります。
それを実際にやるとなると
これまた北京や上海のような
ビジネス・チャンスの多い沿海大都市では、
お役人さんにも威張られるし、
学生を集めることも容易でありませんから、
労働予備軍のたくさんいる
内陸の所得の低い地域でやるよりほかありません。
日本の新聞を見ると、
中国は経済の急速な発展によって
貧富の差がひらき
深刻な社会問題になっていると書いてありますが、
貧富の差があるおかげで、
その盲点をついた事業も
色々と考えられることができます。
ですから現場を見ないで、
頭の中だけで物を考えて結論を出す
実行力のないジャーナリストや学者たちの言うことを
まともにきいてはいけません。
貧しい人たちがいるおかげで
やれる仕事がいくらでもあるのです。
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