第1772回
テレビの広告には逆効果もあります
テレビを見ていると、
広告でその会社が何を売っているのかを知るよりも、
一体、何のためにこんな広告を出しているのか、
その愚かさ加減や、無神経さに気がつく人の方が
多いのではないでしょうか。
週に一ぺんくらいきまった時間に、
自分の会社はこんな仕事をしていますと
広告をしている会社は
手堅い商売をやっているという印象を受けます。
反対に高い広告料を払って
頻度激しく商品の売り込みをしている企業は
却ってその動機を疑われます。
たとえば最近、
病気をしたらどれだけの医療費を払います
というコマーシャルを
こちらがうるさいと思うほど
しつこく流している医療保険の会社があります。
当事者はこれで知名度があがったといって
ほくそ笑んでいるかも知れませんが、
多くの視聴者の反応はその逆ではないでしょうか。
先ず第一にあんなに莫大な費用をかけて
広告をしているところを見ると、
よほどお金の儲かる仕事をやっているんだな
という印象を受けます。
広告はすべて自社製品の売り込みをするのが目的で、
社会奉仕であるわけがありません。
高い広告費を平気で払うということは
丸儲けの商売をやっていることを
広告しているようなものです。
第二にあんな会社に儲けられるくらいなら、
保険なんかにお金を払うより、
病気になってもちゃんと
医療費が払えるような準備をしておこう
という気持を人々に起させます。
どんな保険も、会社が受けとる保険料の方が多くて、
支払う保険料が少いのでなければ、
成り立たないのですから、
病気になることをおそれる貧乏人から
お金を捲きあげるビジネスなんだという広告を
やっているようなものです。
広告料を払って
知名度をあげればいいんだと
当事者が考えるほど世の中は単純にできていません。
お金を払って世間から反感を買うということもあるのです。
テレビの広告ほどお金がかかって
逆効果になる可能性の大きい媒体は
ほかにありません。
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