第1731回
辞めるに辞められない人ばかりです

世の中が変わると、
お金の流れが変わってしまいます。
昨日までお金が流れてきたところに
お金が流れて来なくなるのですから、
そんなお金をあてにしても、
「あてとフンドシは向うからはずれて」しまいます。

私の旧部下で、
ずっと台湾で室内工事を手がけてきた者があります。
主としてデパートの工事を引き受けて、
一頃はずいぶんいい思いをしました。
でも台湾も高度成長期を
通りすぎてしまいましたので、
土地の値段も下げるし、
デパートの売り上げもかなり落ちています。
なかでも土地の値下がりがきびしく、
どこの不動産業者も
マンションが思うように売れないので、
現金収入のあるデパートに目をつけて
既に飽和状態にあるデパートに新規参入を試みます。
デパートの新規参入や改装があれば
室内工事会社には仕事の声がかかります。
しかし、払うお金がないのですから、
どこのデパートも工事代金の未払いは
1年にわけて分割払いをします。
ひどいのになると、2年というのもあります。

これはデパート業者が強慾だからではありません。
デパート業界に流れ込むお金の量が減って、
そもそもそこに払えるお金が
なくなってしまったからです。
そういうことをはっきり認識していない業者が
将来といえども入ってくることのないお金をあてにして
工事を発注しているのですから、
施工業者がお金をもらえるわけがないのです。

「だから、まだ足元の明るいうちに、
 商売替えをした方がいいよ」
と私は4年も前にアドバイスをしました。
でも本人はそれほど深刻に考えていなかったのか、
それとも昔の夢が忘れられないのか、
あるいは、この年になって
いまさら起業をしろと言ったって、
と思っているのか、
いまだに転業には踏み切っていません。
まだ倒産していないのですから、
私が考えたより長持ちするのかも知れませんが、
この手の仕事はいま日本中にあふれています。
もしこうした優柔不断が年齢のせいだとしたら、
お互いに年はとりたくないものですね。


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