第1692回
中国消費市場の成長を見落すな
資源不足はこれまでにも
何回も問題になってきました。
確かにこれだけ資源の開発が進み、
資源の浪費がすすめば、
そのうちに資源が尽きてしまうことは
目に見えています。
石油だけでなく、
石炭や鉄鉱石やボーキサイトに至るまで
同じことが起る筈です。
でも警鐘も長く鳴らしていると、
そのうちに忘れられてしまいます。
石油の消費はふえる一方で、
減る可能性は全くありませんが、
消費がふえる一方で、石油資源の開発もすすみ、
ソ連がOPECと対抗する石油供給国に
のしあがってきたかと思えば、
代替エネルギーの開発も同時に進行しています。
石油が50ドルになるというようなことでも起らない限り、
人々は問題の重要性を忘れがちになるものです。
それがそうも言っておられない
新しい段階にいよいよ入ってきました。
歴史の長い過程で
いままでずっとアジア的停滞に甘んじてきた
人口13億の中国で高度成長がはじまると、
たちまち資源不足の壁にぶっつかってしまったのです。
人々は「世界の工場」になった中国で
工業生産が大へんな勢いですすみ、
生産に必要な原材料が不足して
素材産業の高騰したことしか目につかないようですが、
本当は工業化のすすむ過程で
世界最大の消費市場が幕をあけたのです。
かつて購買力のない貧乏日本で
工業化がすすむと同時に
世界最有力の消費市場が育ったように、
貧乏な中国でも同じことが
これから展開するところにさしかかったのです。
電力が万年供給不足におちいったのも、
石炭や鉄鉱石のような
大きくて重くて安い素材を運ぶ船が不足しているのも、
もとを言えば、世界に輸出する工業製品の
原材料が不足しはじめたからではなくて、
自国において同時進行している
消費市場の膨大な需要の増加に
対応しきれなくなっているからです。
たとえば、世界で1年にふえた鉄鋼需要の8割までが
中国で起っているのです。
この経済的な効果がどうなるかを考慮に入れずに
株式投資をやっていることなど
できるわけもありません。
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