第1640回
パイオニア精神のある若者に道案内を
日本人には愛社精神があります。
恐らくかつての「君に忠に」という伝統的な道徳観念が
戦後もそのまま「会社」に受けつがれて、
終身雇用制や年功序列給が
崩壊に瀕している今日でもなお
そのまま生きているのでしょう。
個人の利益よりも
集団の利益を優先させる日本人の美風と言って
よいと思います。
それに対して中国人は
「家族主義」が徹底していますから、
サラリーに見合うだけの仕事をすれば
それで充分だと考えています。
あとはうまく人間関係をつくりあげれば
それが自分の財産だと信じ込んでいますから、
自分の人間関係にプラスになることだと思えば、
人に力を貸すことを惜しみません。
人間関係で中国の社会ができていると思えば、
パズルは簡単に解けます。
その変わり何十年、一緒に仕事をしていても、
会社のために大きな貢献をしてくれると
期待することはできません。
日本人の側から言えば、
中国人の忠誠心のことが問題になりますが、
中国人の側にも、もちろん、言い分があります。
日本人は日本人以外の人を信用しないので、
どうしても日本人だけでかたまってしまい、
中国で仕事をしていても
中国人幹部を役員の仲間に加えようとさえしません。
だから仕事を覚えたら、
その取引先になって
自分の利益をはかるか、
でなければ、ライバルになって
潰し合いをすることになってしまうのです。
その点、日本人を現地で採用した場合でも
もって生まれた日本人気質が備わっていますから、
能力や行動力に優劣の差はあっても、
日本人としての信頼性が裏切られることは
先ずありません。
ましてや中国で一旗あげるために、
大学を中退して中国の大学に転学したり、
一流企業を惜気もなく退職して
単身、海を渡ってきただけのことはありますから、
パイオニア精神だけでも
平均的日本人よりはすぐれていると言って
よいのではないでしょうか。
私なら現地で職を探がしている日本の若者に
手をさしのべます。
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