第1516回
外国に行って1人歩きは禁物です

日本人は貧乏国の人から見ると、
金持ちに見えるので、
日本人が歩いているのを見ると、
お札が歩いているように見えます。
悪い奴なら、あいつを捉まえて
揺すればよいということになります。

しかし、日本人自身には
金持ちという自覚がありませんので、
警戒心がありません。
私と一緒に中国や東南アジアに
視察旅行に行く人たちの中には
夜遅くホテルに着いて、
これから人が寝ようとしている時間に
平気で夜の街に出かけて行く人がよくあります。
それも1人だけで出かけていくのです。

たとえば大連のような日本人の多い町で
夜1人で酒場に来る日本人はカモになります。
ちょっとビールを1本か、2本飲んだ程度で
4万円も5万円も請求されることがあります。
行きなれた人なら
「領収書をくれ、いまからちょっと警察に行って来る」
と言うと、途端に1万5千円か2万円になります。
少々高いのは1人で行った以上やむを得ません。

ついこの間も、
一緒に海南島に行った若い連中が
グループを離れて2人だけで
近くの温泉場に行きました。
「入場料はいくらだ?」と片言の中国語できいたら、
引出しの中から日本語で書いた
価格表を出してきました。
見ると壁に書いてある値段の倍だったそうです。
更に伊勢海老つきの料理をたのんだら、
海老が1匹足りません。
問いつめたら、
連れてきてくれたタクシーの運転手が
先に食べてしまったとか。
請求書が出てきたので、
言葉がわからないまま日本語で
大きな声を出して騒ぎ立てたら、
「まあまあ」と言って
その分だけ値引きしてくれましたと
あとから報告を受けました。

中国人は他所者と見たら、
あれこれ吹っかけますが、
その分、事情知った者には譲歩もするし、
話にも乗ってくれます。
アジア中、歩いて見れば、
まだそんなに性の悪い方じゃないことがわかります。
でもこちらがそれを心得ていないと
それに応じてくれません。
そうした土地の商習慣になれることが
外国で上手に暮らす方法です。


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