第1500回
三亜市のレジャー産業に目を向けよう

日本でも韓国でも台湾でも、
不動産ブームが持続したのは、
工業化が先行して
富の生産が働く人たちに所得の向上をもたらし、
それらの人々がふえた収入で土地を買い、
家を建てたからです。
工業が発展しないと、富がふえないので、
不動産ブームは長続きしないのです。

海南島の場合は
省全体を経済特区にして
税金の免除や半減を実施しましたが、
インフラも充分でなく、
労働集約的なごく初歩的な生産事業もないところに
いきなり工業用地をつくったので、
原料やパーツを提供する下請け業者も
進出企業が自分で連れて来るよりほかなかったのです。
代表的な日本の進出企業として
ホンダのオートバイ工場がありますが、
素材からパーツまで
いちいち本土から持ち込まなければならないので、
少々くらい人件費が安くても
さしてメリットがないそうです。
他に化粧品のメーカーや
インスタント・ラーメンのメーカーも進出していますが、
工場を拡げるよりも
海南島から転出する希望をもっている企業が
多いときいています。

そうなると、雇傭もふえないし、
したがって所得もふえませんから、
住宅に対する需要もふえません。
海南島は地理的にも気候的にも
台湾によく似ていますが、
50年間日本に統治されていた間に
台湾の工業や教育の基礎ができあがったのと違って、
まだ農業社会のまま低所得に甘んじています。
ですから、外資導入に熱心な政府の委員の人たちにも、
台湾をよく研究してそれを参考にして
産業開発をするようにすすめました。

温州商人によって
不動産ブームがはじまっていると言いますが、
工業化がすすまない限り
不動産ブームは尻切れトンボに終わってしまいます。
ただ三亜市まで行きますと、
ここはハワイに負けない美しい海岸なので、
観光レジャー都市として、
中国じゅうの観光客を集めつつあります。
恐らくこちらを開発する方が有望でしょうし、
それが軌道にのれば三亜の不動産ブームも
息の長いものになるでしょう。


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