第1404回
日本人が北京で北京料理で勝負に出たら
日本人は外国に行くと、
すぐその土地に住んでいる日本人や
日本人の旅行者相手の商売を考えます。
日本料理屋はその典型です。
最近は日本料理に親しむ外国人もふえましたから
現地の日本料理屋に
現地の人が来るのも珍しくはなくなりました。
しかし、毎日、日本料理を食べる日本人と違って、
現地の人が日本料理を食べる回数は
そんなに多くはありません。
現地の人を相手の商売をやるなら、
その土地の料理を手がけるに限ります。
そんなことできるわけがないと
誰でもすぐ否定するのでしょうが、
アメリカで紅花が大成功したのは
日本料理を出したからではなくて、
アメリカ人のふだん食べているビフテキに
日本的な料理法をうまく取り入れて、
アメリカ人に喜んでもらうことに成功したからです。
私は何度も食べに行きましたが、
あれはアメリカ料理であって
日本料理ではありません。
だからこそあれだけアメリカ人に受け入れられたのです。
それと同じ発想で
中国で料理屋をひらくとすれば、
日本料理屋をやったのでは
いくら頑張っても売り上げや利益は知れています。
もし日本人が中国で成功したかったら、
中国料理で勝負をするに限ります。
たとえば北京でやるなら、
日本人が北京料理の店をつくって
北京の人たちから喜んで受け入れてもらうことです。
私にはそういう腹案があって、
日本人の北京料理のシェフの養成にもかかわりましたし、
まだどうすれば北京で成功できるかについても
自分なりの研究をしています。
味もさることながら、
中国人が日本人に敵わないのは
サービスの仕方や人の使い方です。
器の使い方や料理の出し方にも
日本人はキメの細い工夫をします。
それを使用人の一人一人に徹底させ、
日本にある日本料理屋のように
キメの細かいサービスができれば、
向うところ敵なしです。
もちろん、そのためには
味で負けないだけの腕を磨く必要があります。
日本人の料理長を使って
北京で北京料理屋をひらく構想を
あまり遠くない将来に
実行に移したいと私は考えています。
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