第1374回
年金がなくても年はとれます
安泰な老後なんてないことは
年をとってみないとわかりません。
年をとって改めて
友人や知人の家の中を覗いてみますと、
どこの家も傷だらけ、ゴミだらけで
とても人様に見せられたものではありません。
事業はうまく行かなくなるし、
家族間の不和は人に言うだけ家の恥になるし、
家計のやりくりも火の車になってしまいます。
年をとっても家業がやめられないのは、
仕事をやめたら死が待っているだけということを
自覚しているからです。
しかし、物事は考えようで、
安心して迎えられる老後なら、
何もすることがなくなって
死ぬよりほかなくなってしまいます。
とても安心のできないようなトラブルが
次から次へと起って、
それを抑えることに懸命にならざるを得ないからこそ
年をとっても生きておられるのです。
そういった意味では、
あてにしていた年金がもらえなくなったら、
死んでしまう人がふえるという心配はありません。
年金が減ってその分、収入が減れば
人はそれを補うために収入をふやす工夫をします。
金利で暮らす積りだった人が
金利収入がなくなってしまっても
ちゃんと生きているのは同じ道理からです。
このまま老齢化がすすめば、
年をとっても年金をあてにすることができなくなりますから、
若いうちに老後の対策をとる人が
いま以上にふえることになるでしょう。
40年前に私が予想したことが
少しずつ実現に向っているのだと思えば、
政府をあてにして年をとることが
そもそも間違いだということがわかります。
40年前、私と家内は健康保険には入りましたが、
厚生年金に入ることは辞退しました。
途中で「これは間違いだったかな」
と思ったこともありましたが、
もし将来、年金がもらえないようなことが起ったら、
年金の支払いをしなかった分だけ
トクをしたことになります。
そうは言ってもいきなり年金が
なくなってしまうわけではありません。
年金はなくてもよいという心構えが
年金がなくても年をとることのできる環境を
もたらしてくれるということです。
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