第1267回
輸出関連より国内市場に強い株を
株価の高騰と平価の切り上げは
産業発展が生んだ双児ですが、
株価の方が先に呱々(ここ)の声をあげ、
為替相場の切り上げはそのあとに続きます。
しかし、過剰流動性が惹き起す株価の高値と、
為替相場が株価に及ぼす変化は
同じものではありません。
輸出がふえてその結果もたらされる莫大な外貨は
株価を押し上げますが、
ふえ続ける貿易黒字を食い止めることはできません。
貿易収支のバランスを改善しようとすれば、
為替レートを切り上げるよりほかありません。
たとえば1ドルが8.3人民元だった為替レートが
7人民元ていどに切り上げられたとします。
いままで1ドルで輸出して
8.3元もらっていたメーカーが
7元しかもらえないとなると、
儲けが吹っとんでしまうか、
場合によって損をすることも起り得ます。
やむを得ず、値上げを要求すると、
それなら中国から買うのはやめて、
ベトナムか、ミャンマーに鞍替えしようと言われたりします。
いずれにしても利益が減るか、
取引そのものが減って商売に悪影響を及ぼします。
だからどこの国も自国通貨の切上げには
必至になって抵抗します。
たとえ通貨の自由化が既に実現している国でも
中央銀行が先頭に立って
あらゆる手段を駆使して切上げに抵抗します。
まして中国のように米ドルに対して
ペッグ制を採用している国では、
国がウンと言わない限り、
平価の切上げが実現する可能性は全くありません。
しかし、それでも一方的に
外貨が中国に集まるようになれば、
その圧力に人民元が耐えきれなくなることが起ります。
日増しにその方向に進むとすれば、
いつかは必ず人民元高が実現しますから、
株高の中で輸出関連株が
冷水を浴びる時がきます。
従って同じ中国株を買うにしても、
人民元高によって影響を受けない株を
選ぶことが必要になります。
輸出株の全部が全部、駄目というわけではありません。
同じメーカーでも国内市場に強いメーカーの方は
輸出一辺倒のメーカーに比べて
影響が小さいことを念頭においておく必要はあります。
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