第1213回
どっち向いても駄目になる話ばかり

いま周囲を見ると、駄目になる話ばかりです。
政治も駄目、経済も駄目、教育も駄目、
家庭も駄目、親子関係も駄目、
どっちを向いても、
日本の国はこのまま沈没してしまうんじゃないかと
心配になるほどです。

病気になって家で休養をとるまでは、
毎日、毎日、アジア中をとびまわっていたので、
新しい変化ばかり目について、
駄目になって行く光景が
さほど気になりませんでした。
それがヒマにまかせて
テレビを見るともなく見ているうちに、
同じ時間の潰し方でも
こんな愚かな潰し方であっていいんだろうかと
だんだんガマンができなくなってきました。

白装束が田舎道に車をとめて
交通の邪魔をするようになったら、
どのテレビ局もどうして朝から晩まで
白装束のニュースをくりかえすのでしょうか。
野球なんて子供の遊びをオトナが時間を無駄に使って
球に棒をあてているだけなのに、
どうして日本人選手の誰が今日は何回、
球に棒をうまくあてたか、
朝から晩までくりかえし報道するのでしょうか。
そんなことを知ると、
日本人は昨日より今日はもっと働き者になり、
もう少し賢くなるとでも
思っているのでしょうか。

テレビを見れば見るほど
テレビ離れが激しくなると言いますが、
テレビを見ていて
これは役に立つなと思うことが一つだけあります。
それは久しぶりにテレビに出てきたスターが
しばらく見ないうちにすっかり年をとっているのに驚くことです。
あれを見ると、「歳月は人を待たず」
ということがいやでもわかります。
私たちが年をとったスターたちに驚くように、
きっとしばらくあわなかった友達や身内も、
私たちを見たら、口にこそ出さないけど
年をとったなあと驚いているに違いありません。

ですから時間を無駄にしているわけには行かなくなります。
そういう私もベットの中で
テレビのスイッチを入れているうちに
パ・リーグだ、セ・リーグだと
くりかえし報導されるので、
とうとうどの球団が優勝しそうだ
というよけいなことまでわかるようになってしまいました。
本当に無駄な知識だと思いませんか。