第1179回
本が新聞の誤報を訂正してくれます

本屋に行ってペスト・セラーズの本を買わないとしたら、
一体、どんな本を買うのですかとよくきかれます。
私の守備範囲は広いので、同業者もたくさんいます。
そういう人たちの本も読みません。
雑誌などに載っているのを読んでいますので、
読まなくともどんなことが書いてあるか、
大体、わかっているからです。

私が一番興味を持っているのは
私の知らないことについて書いた本です。
知らないことと言っても山ほどありますから、
その中で私が関心を持っていることということになります。
たとえば、トルコにあれだけたくさんの異民族がいて
お互いにいがみあっていることは
トルコの研究をしている人の旅行記を読むまで知りませんでした。
アメリカが中近東から買っている石油は
アメリカで使っているエネルギーの5%にすぎず、
それもサウジアラビアに軍事基地をつくらせてもらった
おつきあいに買った分も含んでの話であることは
「世界を動かす石油戦略」という本を読むまで
気がつきませんでした。

もし私がそんな本を読んでいなかったら、
アメリカがイラクに戦争をしかけたのは
イラクの石油が欲しかったからだという俗説を
無条件に丸呑みにしたかも知れません。
ご承知のようにニューヨークに石油の相場がたち、
アメリカがカナダやベネゼエラから買う石油の値段も
自国産の石油の値段も
中近東の石油供給量に大きく影響されることは事実ですが、
日本のように石油を100%輸入に仰ぎ、
喉から手の出るほど石油の欲しい国と
自ら動機を異にすることを
ちゃんと理解させてもらいました。

そうなると、イラク戦争に対する見方も
新聞の報道とは自ら違ってきますし、
アメリカがこれから抱え込むであろうトラブルや
悩みや財政負担の重さもある程度予想ができます。
周囲の人が誰も教えてくれない事を
本屋に行けば教えてもらえるチャンスがあるのです。
もちろん時間の浪費になるくだらない本も
山ほどありますが・・・。


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2003年6月2日(月)

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