第1168回
借金の次は年貢の取り立てでしょう
殿様が百姓たちから召し上げた年貢で
藩政が賄えなくなると、
どこの藩でも町人で金貸しをやっている連中から
不足分を用立てていました。
藩士たちは借りると言っても僅かなお金のことだし、
それだけの社会的信用もなかったので、
親戚とか知人とかから借りるのが普通でした。
その場合でも、年1割以上の利息は払っていますから、
借金の少いなりに元利の返済に
追いまくられていたことに変わりはありません。
戦後の日本では物をつくって
お金儲けをするチャンスに恵まれましたから、
企業家たちはもっとお金を儲けるために借金をしました。
借金の金利は経費として計上できましたから、
支払い金利に税金はかかりませんでした。
それらの費用をひいた残りの所得に対しては
税金がかかったのです。
こうした所得が年々ふえた上に
法人所得税は固定比率でしたが、
個人所得には累進税率を適用したので、
国民所得がふえるに従って国の歳入も年々ふえ続けました。
でもいくら収入がふえても民間と違って
政府が徴収した税金は貯蓄しておくことができないので、
収入のふえた分だけ国家の予算が膨張し、
急に不況になって税収が減ると
たちまち大赤字になってしまいました。
とりわけバブルのはじけたあとは税収が減っただけでなく、
不況対策のために莫大な投資をする必要に迫られたので
万年赤字が定着してしまいました。
その上、やれ不景気対策だ、やれ銀行救済だと
お金の要ることばかりで、収支は減る一方なのに、
赤字の幅は年々ふえ続けましたから、
国の借金が積り積って1000兆円の大台にのせたばかりでなく、
更にふえ続ける勢いを見せています。
徳川時代の殿様は借金でお家は潰れないが、
世嗣がいないとお家断絶になると言って、
お金をつくるより子供をつくることに熱心でした。
もちろん、いまの政府もそう簡単には潰れないでしょうが、
経済観念のない世襲制政治家によって運営されていますから
お金に困れば年貢の取り立てに
血道をあげるよりほかないでしょう。
不景気の中で増税しようとしても
反対されるにきまっていますから
あれもできない、これもできないということになれば、
さしあたり消費税の引き上げというところに
落着くことになるでしょうね。
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