第1156回
美術品もこれからの評価が本物

財産も減るけれど、月給も下がります。
企業もリストラをやるから、失業者もふえます。
すると、節約ムードが支配的になって、
不要不急の物は買わなくなります。
高価な物や美術品、骨董品のような衣食住と
直接、関係のない商品は客足が遠のいてしまいます。
バーやクラブのような社用族相手の商売は
知らぬ間に銀座裏から姿を消してしまいましたが、
画廊や骨董品店や毛皮屋のような
金廻りのいい人相手の商売も数も少くなりましたが、
店がまだ残っていても
お客の姿はほとんど見かけなくなってしまいました。

地価や株価が値上がりをして景気のよかった頃は、
銀座の画廊はクラブに負けないくらいたくさんありました。
そういう画廊で有名画家が個展をひらくと、
投資向けの画を買う人が集まって、
たちまち売約済の赤札が貼られて完売になりました。
本当の美術愛好家より投資向きに買う人たちが出動したので、
自分が好きな画家の絵より
値上がりしそうな人気画家の絵の方がよく売れました。
いま考えると嘘のような話ですが、
国際的に通用しない日本画家の絵でも
一枚で億の値段がつくことが珍しくなかったのです。

しかし、そうしたブームも一場の夢と消え去って、
買う人もお金がなくなってしまいましたが、
売りたい絵も売れなくなってしまったので、
美術品の相場は地価以上に大暴落しています。
ブームをあてこんで業界入りをした俄か美術商は
あらかた廃業してしまいましたが、
いまもなお残っている美術商は
根っからこの仕事が好きな人か、
ほかにつぶしのきかない人だけということになります。

そういう画廊にいまも相変らず足を運んでいる人は
本物の美術の好きな人で、
いくら安くなっても安いなりに身銭を切る人たちです。
昔と今とどちらかときかれたら、
おカネにあまり介入されない今の方が
むしろ美術品は正当に評価されていると
言えるのではないでしょうか。
こういう時でも多くの鑑賞家を持ち、
然るべき値段のつく画家が
正当な評価を得ている画家と言って良いでしょう。
ここでも価値観の静かな革命は起っているのです。


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2003年5月10日(土)

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