第1155回
可哀そうな中小企業の社長さんよ

土地や株が下がったら、
日本人の財産がその分だけ減りますが、
日本では法人の所有する土地や株が少くありませんから、
毎年、決算日の財産の評価が下げて、
それが会社の利益を逼迫します。
銀行や保険会社や証券会社が一番ひどい目にあいますが、
一般の上場会社も関連会社の株をたくさん持っていますから、
一社で何十億円、何百億円という評価損を
計上することになります。
計上益が減少すれば、納入する税金も減りますから、
国の税収も減ります。
その一方で銀行の救済をしたり、
景気の梃子入れをするための
公共投資もしなければなりませんから、
国家財政は空前のピンチにおちいってしまいます。
不景気の上に無知が追い討ちをかけて
何一ついいことはないのです。

それでも国のやることには強制力がありますから、
地価は下がるし、株価も下がります。
お金を持っている人ほど
まともにその影響を受けて財産を失います。
財産が減っても借金は減りませんから、
中小企業や家族会社はだんだん金ぐりが苦しくなって
顔色が冴えなくなります。
それに比べると、何千億円という負債を抱えて
倒産寸前まで追い込まれた上場会社は
取引銀行に債務の免除を申し出て承諾してもらっていますし、
それでも片づかない場合は更生会社の申請をすると、
債務の棚上げをしてもらった上に、
あとは無利息で競争入札に参加することもできます。

ちゃんと利息も払って何とか経営している企業は
このハンデイに悩まされていますが、
倒産したくても倒産のできない中小企業は
銀行に首を締めあげられています。
これでは強きを扶けて弱きを挫くと言われても
仕方がありませんが、弱きと言っても、
本当の貧乏人ではなくて、小金持ちのことですから、
あまり眞剣に取り上げてもらえません。
こうなると、小金持ちも本物の貧乏人までおちるか、
でなければ、一旦無一文になって
もう一度自力更生するか以外に道は残っていません。
可哀そうな可哀そうな社長さんと言うのは
中小企業の社長さんのことです。


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2003年5月9日(金)

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