第1131回
コーヒーは中国の大産業になります

私が30年前に亡命先の東京から台湾へ帰った時、
台湾の平均所得は700ドルでしたから、
コーヒーを飲む人はほとんどいませんでした。
私は私の秘書たちにコーヒーの飲み方を教えたので、
その中にはコーヒー中毒にかかって、
いまでも一日に6杯や7杯飲まないと気がすまない人もおります。

それが経済の発展と共に所得水準があがると
台湾中がコーヒー店だらけになってしまいました。
あまりにコーヒー店がふえて、
コーヒー店で商談をするセールスマンがふえたので、
私の友人の中には会社の中の商談室を廃止して
家賃の節約にふみきった人もあります。

いまの中国は上海や北京のような先端を切る大都会でも
昼の弁当が一食10元であるのに対してコーヒーは一杯で30元、
ホテルのカフェテリアだと60元もとります。
これでは外国人とそのお相手をするごく一般の人しか
コーヒーを飲まないとしても不思議ではありません。

では中国人はコーヒーが嫌いなのでしょうか。
将来といえどもコーヒーとあまり縁がないのでしょうか。
台湾や香港の先例を見てもわかるように、
私はそうではないと思っています。
収入が少いからコーヒーにまで手が届かないだけのことで、
収入がふえるに従って少しずつコーヒー党がふえて、
恐らく遂に全国を風靡するようになります。
いままでの10年でみんなの収入は3倍になりましたが、
これからの10年も恐らく大へんな勢いで所得が増大しますから、
年と共にコーヒー党がふえることは
先ず絶対間違いありません。

とすれば、コーヒーハウスは
中国のこの次の成長産業の一つということになります。
だからいまからツバをつけておれば
一大チェーンになれるかどうかは
経営の仕方にもよりますから何とも言えませんが、
コーヒーの消費量が急増することだけは絶対間違いありません。
そういう目で見えると、
いまから中国でコーヒーの栽培をはじめれば、
大産業になると思いませんか。


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2003年4月15日(火)

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