第1015回
移民は地の果てまででも移民します

2つの国に分かれていがみあっていると言っても、
台湾と中国では立場が違います。
中国は台湾の60倍も人口があって、
いまや高度成長に入って経済力も日増しに強くなっています。
蒋介石が都落ちをして台湾に入ってから、
日が経つほどに彼我の力は逆転し、
今日のような形になることは宿命的なものと言っていいでしょう。

いつかは中共に攻められて
台湾がその手中に落ちるかも知れないと、
台湾人も、蒋介石について台湾入りをした外省人や
政府の要人たちも怖れていました。
だからそうならないうちに
その対策をとっておく必要があると考えた人たちは
30年も前、台湾の国民政府が
国連から追い出された時から海外再移住を考え、
その手を打ってきました。

アメリカやカナダやオーストラリアに
移住できた人たちはそっちへ動きましたが、
これらの国々は移民の資格をきびしくして
なかなか台湾の人を入れてくれません。
とりわけ台湾が国連を脱退してからは、
国民政府と国交を絶つ国が年と共にふえ、
最近まで残った友好国は南アフリカのほか
いくつもありませんでした。

なかでも台湾の人たちが移民しても
何とか生計の建てられそうな国は
南アフリカとアルゼンチンくらいなものです。
うっかりそういうことを見すごしていた私は
ブエノスアイレスに行った時も、
ヨハネスブルグに行った時も、
道で台湾の人に言葉をかけられたり、
中華料理店に入って店の主人から挨拶をされて
びっくりしたことがあります。

あとできいたら、ブエノスアイレスには台湾人が2万人、
ヨハネスブルグには5万人も住んでいるそうです。
いずれも中共に攻め込まれて
台湾が自分たちに住められなくなることをおそれた人たちが
先手を打って地の果てまで逃げてきたということでした。
その大半は蒋介石について台湾に逃げ込んだ外省人ですが、
むろん、台湾人もおります。
移民はメシが食えなくなったら、
またすぐに尻を上げるという何よりの証明です。


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2002年12月20日(金)

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