第1014回
どちらが海外勤務に強いですか

天孫降臨の伝統に従えば、日本人も移民の子孫ですが、
きっと時間がたちすぎてしまったのでしょう。
日本は四季の変化に恵まれ、地味肥沃なところですから、
山の幸、海の幸にも事欠くことなく、
戦乱さえなければ平和に暮らせます。
外敵に攻め込まれるチャンスも少く、
それを防ぐために鎖国までやった国ですから
一つのところに根を下ろして周囲を耕せるようになると、
そのまま根づいて植物になってしまったのかも知れません。

ですから終戦後、工業立国に転換して
工業生産でメシを食うようになってからも、
日本国内で生産を続け、
なかなか外国へ出て行こうとしませんでした。
外国に販売会社をつくったり、
海外工場をつくるようになってからも、
会社から海外駐在の辞令が出ると、島流しか何かにあって、
もう二度と国へ帰って来られないような気持になって、
水杯を交わすような気分になったものです。
海外居住者が100万人を超えるようになっても、
日本人はまだそんな気持を心のどこかに持っています。

それに比べると、中国の人たちは台湾の人も含めて、
国が乱れたり、メシにありつけない歴史を長く生きてきたので、
アメリカの入国ビザが手に入ったというだけで
家族友人が集まって、「おめでとう、本当によかったね」
と祝杯をあげてくれます。
外国に行けるからと言って
メシの食える保証をしてもらったわけでもないし、
新しい心配がふえるだけですが、
それでも未知の世界に挑戦できる道がひらけたことは
中国の人たちにとっては大へんな喜びなのです。

恵まれすぎるというのも、いいような、悪いようなものです。
中国人は昔々からメシの食いっぱぐれに悩まされてきましたが、
日本人はデフレとグローバル化の時代になって
やっとその玄関口に立たされたところです。
日本人は中国人に比べると、お金もあるし、
発言権のある政府がうしろに控えています。
同じスタートを切るにしても、
日本人の方が好条件に恵まれていますが、
どちらが逆境に強いかということになると話は別です。


←前回記事へ

2002年12月19日(木)

次回記事へ→
過去記事へ 中国株 起業 投資情報コラム「ハイハイQさんQさんデス」
ホーム
最新記事へ