第881回
お金の動きは想像以上に複雑ですね

アメリカ発世界大不況がどんな形のものになるかは
この2ヶ月くらいのニューヨーク株式と
ドル相場の動きを見たらわかると考えて
注意深く観察してきましたが、
ニューヨークのダウ平均は
9.11のテロ直後の下値をあっさり割って
とうとう7千台までおちてしまいました。
またドルは対ユーロでも、対円でも、
その他の通貨に対しても、
下げ幅にそれぞれ違いはありますが、
一段安がはっきり目につくようになりました。

でもそのあとダウはすぐに8千台に戻りましたし、
円高も日銀を安心させるような方向に動いて
いまのところ小康を保っています。
相場は株でも通貨でも
寄せては返す波のようなものですから、
わッと引いたら、必ず戻ってくるものです。
ただ満潮か引潮かによって波の勢いが違います。
私はこれからかなり長期にわたって引潮が続き
相場は小さく上げて大きく下げると見ています。
正しいかどうかは相場の動きを見ていて下さい。

アメリカは世界経済の勧進元みたいなところですから、
親亀こけたら子供はみなこけることになります。
でもアメリカの株が下がったら、
世界中の株価が下がるのに、
通貨はよその国の方が逆に上がりました。
アメリカの景気が悪くなったら、
対米貿易も不利になりますから、
対米貿易で稼いでいる国の通貨も旗色も
悪くなりそうなものです。
それがそうならないのは
アメリカの証券市場の先行きを悲観して
ヨーロッパや日本をはじめ
世界中からアメリカに出稼ぎに来ている外国の資本が
アメリカの株を買って
それぞれユーロや円に換ろうとするからだと
見られています。

確かにそういう動きもあります。
しかし、そういう動きばかりでもありません。
アメリカのファンドは
ヨーロッパや日本の証券市場にも投資しています。
ニューヨークの株で大穴があくと
ファンドの解約がふえますから
その資金を調達するために
手元のヨーロッパ株や日本株を売って
ドルに戻す必要が起ってくるのです。
世界を自由に動きまわるようになった資金の動きは
もっとずっと複雑なものだと
考えなければならないようです。


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2002年8月8日(木)

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